【建築基準法】建物の用途変更ってなに?

建物には居住用、店舗、事務所などいろいろな使用用途があります。
そこで今回は事務所と店舗の定義と、事務所から店舗へ用途を変更する場合、どのような手続きが必要となるかについてご紹介したいと思います!

店舗の定義

店舗とは一般的に物販や飲食といった、
不特定多数の来客に向けて商品を売るテナント」のことです。
店舗用途として申請されている建物は、建築基準法で「特殊建築物」と定義されています。

特殊建築物ってなに?

”特殊”と名前がついてあるのですが以外にも該当するものは多く、以下の施設等が挙げられます。

  • 物販店
  • 飲食店
  • 映画館
  • 劇場などの娯楽施設
  • 病院などの医療施設
  • ホテルや旅館などの宿泊施設
  • 老人ホームや寮などの共同住宅
  • 学校や博物館などの教育施設
  • ボウリング場やスケートリンクなどの運動施設・遊興施設
  • 待合室
  • 共同浴場
  • 映画やテレビの収録を行うスタジオ
  • 倉庫
  • 車庫

どんな物件なのか特徴をまとめると、「不特定多数の利用客が見込まれる業種・利用用途」ということになります。

事務所の定義

今まで店舗についてご説明しましたが、事務所の定義としては「事務作業(デスクワーク)を行うテナント」のことになります。

しかし営業職が拠点とする営業所と、事務所は異なります。
また事務所は店舗と異なり、「特殊建築物には該当しません」。

理由としては不特定多数の人の出入りがある程度制限されるためです。
ただし例外もあるので、建てたい建築物が何に該当するのかは
事前にきちんと調査をしましょう。

建物の用途って?用途変更ってなに?

ここで本題になります!
先述したように建物には店舗や事務所、居住用など様々な用途がありますが、
基本的に建物を建築する際に建物の用途を申請することが必要になり、店舗なら店舗、事務所なら事務所として使用することが決められております。

ただ、募集区画のテナントが埋まらないなど、どうしても当初申請していた用途から変更したいといった場合には用途変更の申請が必要になります。

例えば元々の事務所だった建物を店舗に変更する時は、建築確認申請が必要です。

どんな場合に必要かというと、以下の3つの条件にすべて該当する場合、用途変更の時に建築確認申請を行わなければなりません。

  • 店舗(≒特殊建築物)に用途変更する場合
  • 異業種の店舗に変更する場合(類似する業種の店舗に変更する場合は例外として不要(劇場→映画館、博物館→美術館、カフェ→バーなど))
  • 上記二つを満たし、かつ用途変更する部分の床面積が200㎡を超える場合

一方で、店舗から事務所に用途変更する場合や、類似する業種の店舗に変更する場合は、基本的に建築確認申請が不要になります。
理由は店舗で備え付けられていた設備で十分と考えられるからです。

逆に事務所は元々人の出入りが少ない場所と考えられるため、それを店舗にするということは、不特定の人が出入りするための空間に設備等を変更する必要があります。

防災設備の不備から災害のリスクが高まる可能性もあり、建築基準法や消防法など安全性の観点から法律に抵触してしまうこともあります。

そのため店舗から事務所への用途変更は建築確認申請が不要ですが、事務所から店舗は必要なわけです!

他にも都市計画法で定められている用途地域によって制限されるテナントもあるため、
店舗の開業やテナントオーナー様が募集をされる際にはぜひともご注意ください!

ご不明な点等あればお気軽にご相談ください♪

店舗・オフィスのテナント用火災保険の内容について確認しておこう!

ビル火災のイラスト

賃貸店舗・オフィステナントに契約して、火災保険に加入していないとどうなるのでしょうか。
火災保険は基本的に火災が原因の損害だけでなく、本当に様々な損害に対する補償を行なってくれる便利な保険です!
そのため、火を扱うことがない事業だとしても、ほとんどの物件で火災保険の加入が必要になります。

また、火災保険は自らが火事を起こしてしまった場合だけでなく、
他からの火事に巻き込まれてしまった場合などにも補償を受けることができますので、
賃貸店舗・オフィスの契約時には、オーナー(賃貸人)や建物管理会社と補償の内容を確認し、火災保険を検討していきましょう。

補償額をしっかり確認しよう!

万が一の場合に必要となるであろう補償額をしっかりと把握して、
加入しようとしている火災保険の補償内容と照らし合わせておく必要があります。
補償額を把握するために確認しておきたい項目は、以下のような内容です。

オフィス内の家具、什器類
  オフィス内の家具や什器、設備などが焼失してしまった場合に、処分したり新たに買いなおしたりする分の費用です。

他の入居テナントの数
  他のテナントに被害を及ぼしてしまった場合の損害賠償の規模を把握するために必要となります。

休業中の利益
  休業中の利益というのは休業補償のことですが、
毎月の平均的な粗利をもとにおおよその相場を出すことができます。

上記③休業中の利益において、休業中の金額補償をしてくれるプランもあります。

何らかのトラブルによって営業できない状態に陥ったとき、売上減少による損失を補ってくれるのが店舗休業保険です。

実際のところ、ビジネスではどのようなトラブルが起こるのか分かりません。そうしたとき、店舗休業保険に入っていなければ突然の事故によって一瞬にして倒産することがよくあります。

店舗休業保険の補償範囲は広いですが、例えば以下のようなケースでビジネスができなくなったとき、保険金が下りるようになります。

  • 台風や地震により、復旧工事が必要になった
  • 提供した料理で食中毒が発生し、2週間店を閉めた
  • 盗難被害に遭い、店内の修理が必要になった

このように、幅広い内容に対して補償されます。

万が一の事を想定して今のうちから保険の内容を確認、見直しをしておくと良いですね!

店舗・オフィステナントで加入しておくべき火災保険の特約3選!

火災保険にはいろいろな内容があります。
『オプションをつけると高くなるからなにも付けずに最低限のプランで!』と言って万が一、なにかあった場合では遅いです!!

だからといってなにがなんだかわからない状態であれこれオプションを付けてしまっては金額は跳ね上がるばかり・・・。

『じゃあ、どうしたらいいの~!?』といった方に向けて、
とりあえずこの3つだけ検討してみてください!という項目をまとめてみました!

借家人賠償責任保険

賃貸の店舗・オフィステナントを借りるときの火災保険には、
借家人賠償責任保険と呼ばれる特約がセットで含まれていることがほとんどです。
物件によっては加入必須のところもあります。
それくらい重要度が高いです!

この特約は、簡単に言うと火災や破壊、爆発事故といったトラブルで損害を受けた場合に、法律上の賠償責任を補償してくれている保険です。

つまり、この保険は物件の所有者であるオーナーに対して、何かあった場合の責任を負う保険ということになります。

個人の住宅とは違い、店舗・オフィステナントなどの場合は規模が大きいことがほとんどであり、建物の修復にはかなり高額な修繕費がかかることが想定されるので検討したほうがよいでしょう。

②個人賠償責任保険

続いては個人賠償責任保険です。
この特約は日常生活のなかで、個人が他人に法律上の損害賠償責任をおった場合に対象となる保険ですが、保険に詳しくない人などは借家人賠償責任保険とどう違うの?と感じるかもしれません。

しかし個人賠償責任保険とは、借家人賠償責任保険ではカバーできない個人に対する補償を行うものですから、物件のオーナーに対して責任を負った場合に使われる借家人賠償責任保険とは対象が異なります。

いくつものテナントが入っている賃貸ビルなどの場合は特に、火災を発生させるとそのビルに入居しているテナントにも迷惑がかかります。

この時の被害に関しては各テナントが加入している火災保険から補償が受けられますが、あくまでも賠償責任は火元にありますから、被害を受けた他テナントが契約している保険会社からプラスして損害賠償責任の請求が来る可能性もあるわけです。

このような時、個人賠償責任保険があれば、そこから損害賠償金の補償を出すことができます。
また個人賠償責任では、火災事故のほかにもガス爆発や水漏れ損害などによる
損害賠償責任についても補償してもらうことができます。

家財保険

最後にご紹介するのは家財保険です。

火災保険にセットされている特約の中でも、物件オーナーや隣のオフィスなど第三者に対しての補償がなされる借家人賠償責任保険や個人賠償責任保険とは違い、
家財保険というのは文字通り自らの「家財」の損害に対して補償されるものです。

家財保険で補償される損害の原因には、火災だけでなく、落雷や爆発、
水害や水漏れなどがあり、盗難なども対象になる場合が多いです。
(保険会社によっては選択できるものもあります。)

中には使えなくなってしまった家財を処分するのにかかる費用まで実費補償してくれるものまであります!
特に賃貸オフィスの場合は、個人宅とは違って、PCやコピー機など、高額な精密機械類の数が多く、実際に被害が発生した場合の損害額はかなり大きくなってしまう可能性が高いでしょう。

賃貸借契約の際に加入が条件にされる火災保険には、ほとんどの場合、
借家人賠償責任と個人賠償責任に加え、この家財保険がセットでついているはずなのでチェックしてみてください!

まとめ


経費削減などのためにできるだけ特約を減らして、安い保険料にしたいと考える方が多いと思いますが、万が一の場合を考えるとやはり上記の3つの特約は最低限あったほうが安心です。
また、オフィスではリース品を使用している場合も少なくはないかと思いますが、リース品に損害が及んでしまった場合の補償に関しては保険の内容によって対応が異なりますので確認が必要です。

物件の契約の際には物件オーナー物件管理会社何かあった際の費用負担について、必ず確認するようにしましょう!

居抜き・スケルトン・事務所仕様について

事業用不動産を探す際に部屋の中がどのような状態で引き渡されるかはとても重要ですよね。
住居の賃貸の場合は原則として完成されたものをそのまま利用しますが事業用不動産は違います。それぞれのテナントさんが事業を営業しやすいように造作することとなるのは容易に想像がつくかと思います。
今回は事業用不動産の3つの引き渡し状態【居抜き】事務所仕様】【スケルトンについてそれぞれのメリット及びデメリットを添えて解説させていただきます!

【居抜き

居抜きとは物件を直前まで利用していたテナントの造作や什器を引き継ぐことができる状態のことを示します。飲食店の居抜きが圧倒的に多いですが美容室の居抜き、物販店の居抜きなどもございます。最近では事務所の居抜きという案件も増えてきました。

・メリット
造作が残っているので初期費用が抑えて営業を開始することが出来る。
・デメリット
物件がなかなか出てこない。
古くて状態が悪いものも責任を持って引き継がなくてはいけない。
賃貸終了時に原状回復義務が発生する。

参考画像:カフェ兼居酒屋
事務所仕様

文字通り事務所として使い易い仕様となっていることを示します。
床はカーペットタイルのOAフロア(電源が床面に配線されたフロア)となっていることが多く、また天井や壁紙も綺麗な白一色で統一されていることがほとんどです。
賃料が少し高くなりますがセットアップオフィスと言って会議室や待合室などが最初から設置されているものもございます。

・メリット
事務所として使いやすい仕様となっているので大規模な工事が必要ない。
清潔感のある仕様となっていることが多いので健全な営業活動を開始しやすい。
・デメリット
飲食店や美容室等の事務所以外の用途に使いづらい。

スケルトン

室内の内装設備がない状態のことを示します。建物の躯体を支える柱や梁だけの言わば骨組みのみであることよりスケルトン(英語で骨格を意味する)という呼び名になっています。中にはエアコンだけ残っていたり、トイレだけ残っていたりするものもあり、こういったものを半スケルトンと呼んだりもします。

・メリット
内装工事を最初から造作できるため店舗の色を出しやすい。
建物の配管等の状況を把握しやすい。
・デメリット
内装工事に膨大な費用がかかる。

「居抜き物件」とは?

飲食店開業に際して、近年脚光を浴びているのが「居抜き物件」です。

「居抜き物件」とはどういうものか、メリット・デメリット、気をつけなければならない点など、まとめてご紹介します。

1.「居抜き」「居抜き物件」とは?

広辞苑第5版では、「居抜き」とは「住宅や店舗を、家具や商品・設備をつけたまま、売りまたは貸すこと」と説明されています。
よって、「居抜き物件」は、店舗や工場、旅館などの、内装や設備が付帯した状態での賃貸や売買の対象となっている不動産ということになります。
一般的に、飲食店用に借りるテナント物件は内装や設備が何もないスケルトン状態であることが多いので、 それらが付いてくる物件を、「居抜き物件」として区別しているのです。
居抜き物件を賃貸借する場合に理解しておきたいことは、テナントとしての賃貸借契約は、物件所有者・貸主と交わし、 内装や設備などの、前借主に所有権(注1)があるものについて、前借主と新借主の間で売買するということです。

物件内の内装や設備は「造作」とよばれ、テナントの前借主から新借主へ造作を譲渡する契約は、 「造作譲渡契約」「造作売買契約」「飲食店舗付属資産譲渡契約」「飲食店舗付属資産売買契約」と呼ばれています。
上記のほかにも「飲食店譲渡契約」や「飲食店売買契約」というのもあるようです。
飲食店経営者にとって居抜き物件は、内装工事や内装解体工事を省略できるという利点があるため関心が集まっています。 現在は、居抜き物件を専門に扱う不動産や、インターネット上でも飲食店開店・閉店向けの居抜き物件専用サイトもあり、居抜き物件を活用しやすくなっているといえるでしょう。

注1:前借主が居抜きで入居していた場合には、前借主が設置したものだけでなく、それ以前の借主が造作又は設置した内装・設備等が存在します。 それらの所有権も、設備等の設置状況・経緯にかかわらず、すべて前借主の所有となることを理解しておきましょう。

2.居抜き物件の造作譲渡契約で注意すべきこと

飲食店の開店を目指す経営者にとっても、飲食店を閉店させて引き上げようという経営者にとってもメリットの大きい造作譲渡ですが、 契約時に気をつけなければならない点がいくつかありますので、順に見ていきましょう。

  1. 物件所有者・貸主の承諾を得る
    造作の譲渡はテナントの借主間で行われるものですが、物件所有者・貸主の承諾を得ておく必要があります。 場合によっては、不動産の管理会社の承諾も得る必要があります。
    譲渡を検討する場合には、最初に賃貸契約書の内容を確認しましょう。 譲渡を認めない契約になっていることが通常ですが、交渉次第で認めてもらえることは少なくありません。 ただし、居抜きという言葉を聞いただけで難色を示す物件所有者・貸主もいますので、上手に交渉することが大切です。
  2. 譲渡項目書を作成する
    内見の際の説明だけでは譲渡品に含まれるものについて誤解が生じる可能性が高いので、 契約書に「造作一式」とあっても、必ずリストを添付し、売買の対象となっている物品の認識にズレがないようにしましょう。 特に、譲渡品にリース物品が含まれているかどうかをチェックしましょう(含まれていた場合については6で説明)。
  3. 譲渡品の状態を確認する
    譲渡する側は、すでに明らかになっている故障や不調について隠すことなく伝えることが大切です。 譲渡される側も、設備などはそれぞれの動作確認を行うとともに、後の不満の種にならぬよう、メーカーや使用年数、 使用頻度などの情報を確認したうえで、価格交渉する必要があります。
  4. 契約書を取り交わす
    価格を交渉し、現金を渡して終わりということで、わざわざ契約書を結ばなくてもと考える人がいますが、 譲渡価格にかかわらずきちんと契約書を交わすようにしましょう。後からトラブルに巻き込まれることがないよう、 契約書には「契約解除の条件」など、盛り込んでおくべき条項もありますので、 居抜き専門の不動産業者や行政書士に契約書の作成を依頼したり、リーガルチェックをしてもらったりするとよいでしょう。
  5. 引渡し前に動作を確認する
    引き渡し後に、空調設備が動かない、厨房機器が壊れていたとなるとトラブルのもとになりますので、 引渡し前に動作確認を必ず行うようにしてください。
  6. リース物品を確認する
    店内にリース物品がある場合には、精算して引き上げるのか、契約を引き継ぐのかについて、お互いに誤解がないように明確にしておきましょう。

3.「居抜き物件」のメリット・デメリットは?

★開店コストを抑えることができる

飲食店開店のためには、通常は長い期間がかかり、多くの資金も必要となります。

コンセプトにあった居抜き物件に巡り合えたならば、内装工事がほとんど必要なく、設備も手ごろな価格で入手することができるので、その分を運転資金に回すなどすることができます。
そして、内装工事期間が必要ないので、物件の賃貸借契約を交わしたら時間をおかずに開店することが可能です。
内装の設計や、厨房設備や排気設備などを選ぶ手間が省け、多忙な開店前に時間的な余裕が生まれます。
さらに、内装工事費や設備費を抑えることができると、減価償却費も抑えることができるので、開店時だけではなく、開店後の経営においても、大変助かるでしょう。

★内装や設備などに妥協が必要なことがある

こだわりがある場合には特に、理想とする内装と合致する物件を見つけることは容易くないでしょう。 ある程度の妥協が必要であったり、少し工事を入れる必要が出たりすることがあるかもしれません。
設備についても、揃えたいものと実際に譲り受けるものとに若干の違いがあるかもしれません。
また、設備は開店当初からすでに中古品ということになるので、早期に故障したり、 買い替え時期が早めに来たりすることを想定しておく必要があるでしょう。

4.飲食店舗の物件取得費と内外装費の目安の考え方

物件取得費と内外装費にはどのような費用が含まれているのか、確認しておきましょう。
物件取得費には、以下のような費用が含まれます。

  • 保証金:賃料の6ヵ月~10ヵ月程度が相場とされています。
  • 礼金:物件所有者・貸主への謝礼金であり、返還されません。賃料2か月分までであることが多いでしょう。
  • 仲介手数料:不動産業者への手数料として、通常は賃料の1か月分を支払います。
  • 賃料:契約月の日割り計算した賃料と翌月の賃料を合わせて払うのが一般的です。
    したがって、物件取得費には、礼金の有無にもよりますが賃料の10~15か月分が目安になります。
    また、保証会社を利用した場合の保証会社保証料、管理・共益費、保険料なども考慮に入れる必要があるでしょう。
    また、居抜き物件の場合には、造作譲渡費がプラスされます。

内外装費には以下のような項目があります。

  • 内装設計、施工費
  • 看板施工費
  • 厨房機器費
  • レジや備品の費用
  • 店舗クリーニング費用(場合による)

上記の内外装費以外にも、「販売促進、広告費」「開店前経費」や、従業員を雇うならば「従業員の募集費用」が必要です。

個人開業の小規模飲食店では、開業資金は600万~1,200万円といわれています。その開業資金の使途については、 日本政策金融公庫の「飲食店開設費用の内訳(不動産を購入した企業を除く。)」によると、 「内外装工事」が41.7%、「機械・什器・備品等」が21.1%、「運転資金」が19.1%、「テナント賃借費用」が17.5%となっていました。

ただし、店舗の規模が大きければ大きいほど、物件取得費が高くなり、また、カフェやラーメン店などよりはレストランなどのほうが内外装工事費が高くなることは推察しやすいことでしょう。それぞれが実際にいくらかかるかについては、立地や店舗の規模、業種業態によってかなり変わってくるというということになります。
また、日本政策金融公庫では、開店する予定の飲食店について、どのような要素で特色を出すかという観点で賃料や減価償却費などの固定費を考えることをすすめています。例えば、提供する食事内容で勝負したいのならば、売上に対する原材料費を多めに取れるように、賃料や人件費を抑えるようにする。行き届いたサービスでアピールしたいのならば、人件費に予算を多く割けるように、賃料や諸経費などを抑えておく。あるいは、立地の良さで稼ぐのであれば、賃料が高めであっても良い物件を探すなどです。
売上予測、利益予測を立て、店のコンセプトを勘案し、それらから費やせる物件取得費、内外装費の目安を算出するのもよいでしょう。

5.居抜き物件のタイプと成約の流れ

店をたたむにあたって、経営者が造作譲渡を望む物件を居抜き物件として見てきましたが、 実のところ「居抜き物件」にはいくつかのタイプがありますので、以下にご紹介します。 候補物件に巡り合った際にはどのタイプであるのか注意するようにしましょう。

造作譲渡代金を支払う居抜き物件

これまでご紹介してきた、いわゆる居抜き物件がこれにあたります。現テナント借主の入居中に交渉して、店舗内の造作一式を有償で譲り受けるものです。
このタイプの居抜き物件には、現借主の退却日は決まっており、それまでに引き渡しされる物件と、 現借主が、物件所有者・貸主へ解約予告通知を出していない物件の2種類があります。
解約予告通知が出されていない場合には、造作譲渡の合意が得られてから現借主が物件所有者・貸主に解約予告するため、 物件所有者・貸主の承諾を得るなどのステップから始まるので、成約までの時間がかかることが多いでしょう。 ただし、もともとが「売れたら店をやめる」予定で、切羽詰まった状況ではないことから、立地や客層が好条件であることも多いとも考えられます。

造作譲渡代金を支払う必要がない造作残置の物件

前テナント借主の退去後に造作が残っている状態です。前借主は造作の所有権を放棄しており、 物件所有者・貸主は、次の借主へ無償譲渡することが多いようです。解体や廃棄の手間がかかる場合もありますが、 残置されていることが多い排気ダクトやグリストラップなどをそのまま利用できると、内装工事費を抑えることができます。
そのほかの物件として、内装、厨房設備、什器等が揃っており、すぐに営業が開始できる状態の店舗を、 すべてひっくるめて借りる「リース店舗」というものもあります。 所有権はありませんが、故障の際の修理やメンテナンスなどをリース業者にやってもらえます。

居抜き物件の成約までの流れ

それでは、造作譲渡代金を支払うタイプの居抜き物件について、成約に至るまでの流れを簡単に見ておきましょう。

①居抜き物件専門業者の選定数多くの経験がある信頼性の高い業者を選定することが大切です。
②候補物件の内見内装や設備の状態を見るだけではなく、譲渡対象と先方が引き上げるものを分けて確認することが大切です。
③譲渡項目書の入手どの什器や設備をいくらで譲ってもらうのか、明確にリストアップしたものをもらいましょう。
④造作譲渡契約内容の確定と締結契約は、不動産業者や司法書士など第三者の立ち会いのもとで締結しましょう。
⑤引き渡し動作確認の後、契約通りに代金を支払います。

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